平成20年:愛知県議会  平成20

      健康福祉常任委員会    6月26

 



筒井タカヤ委員】

 新聞報道によると、6月2日未明、神奈川県綾瀬市内にある知的障害者グループホーム、ハイムひまわりから出火し、木造2階建て約320uの住居を全焼し、入居者7名のうち3名が死亡し、1名が重傷を負ったとのことである。

今回の火災は、家主の放火によるものとのことだが、グループホームなどについては、一昨年1月に発生した長崎県大村市内の認知症高齢者を対象としたグループホームの火災を含め、これまでも火災が繰り返されている。

こうした事業所においては、自動火災報知設備などが設置されておらず、防火安全体制が整っていないということもあって、被害が拡大したものと思う。

今回の火災を受け、県内のグループホームなどの施設に対し、県はどのように対応したのか。





【障害福祉課主幹(地域移行推進・コロニー)】

一昨年の長崎県大村市内での火災を受け、その直後の平成18年1月19日付けの健康福祉部長通知、認知症高齢者グループホームなどにおける防火安全体制の徹底などについてにより、防火安全体制の徹底をお願いしたが、今回の火災を踏まえ、再度、6月5日付けでグループホームなどの事業者に対し、防火体制及び万一火災が発生した場合の消火・避難・通報体制を確保するなど、防火安全体制に万全を期すよう通知し、徹底を図った。



 

【筒井タカヤ委員】

 文書で通知を出し、周知徹底を図ることも重要であるが、今回火災があったグループホームには、自動火災報知設備やスプリンクラーの設備はなかったとのことであり、そもそもグループホームなどについて、消防法令上の取扱いはどのようになっているのか。





【障害福祉課主幹(地域移行推進・コロニー)】

 これまでの消防法令では、自動火災報知設備などの設置義務については、延べ面積などが一定規模の事業所に限り対象にしてきた。しかし、一昨年の長崎県のグループホームの火災を踏まえ、消防法令が一部改正され、設置義務の対象事業所が拡大され、平成21年4月から施行される。

これによると、主として障害の程度の重い方が入居するケアホームや認知症の高齢者が入居するグループホームなどの事業所については、すべての事業所に自動火災報知設備や消防機関へ通報する火災通報装置の設置が義務付けられるほか、収容人員や延べ面積が一定規模の事業所については、防火管理者の選任やスプリンクラー設備の設置が求められている。

なお、消防用設備の設置については、消火器は平成22年4月1日まで、自動火災報知設備などの設備については平成24年3月31日までの猶予期間が設けられている。県としては、人命に関わることでもあるので、できるだけ早く対応するように、障害者のケアホームなどや認知症高齢者グループホームの事業者に対してお願いをしていきたいと考えている。





【筒井タカヤ委員】

消防用設備を設けるためには、それ相当の費用がかかるものと思われるが、これについて何らかの支援策はあるのか。





【障害福祉課主幹(地域移行推進・コロニー)】

 障害者のケアホームなどに係る支援策については、消防用設備の整備については、基金事業である障害者自立支援基盤整備事業などの国庫補助制度や独立行政法人福祉医療機構の融資制度の対象となっており、こうした支援制度を活用することによって推進が図れるものと考えている。

また、これら支援策の中で、障害者自立支援基盤整備事業により、今年度は36カ所を対象に、自動火災報知設備などの消防用設備の整備を行うこととしている。

今後、障害者のケアホームなどの設置者に対して、消防用設備の整備を図るために、7月7日に開催を予定している障害者福祉サービスの事業者を対象とした集団指導の場において、消防法令の改正内容について改めて説明し、補助制度や融資制度を活用することにより、早期に防火安全体制を整備するよう働きかけることとしている。



 

【高齢福祉課主幹(施設)】

 認知症高齢者グループホームに係る支援については、新設の場合には、消防用設備の整備を含め、地域介護・福祉空間整備等交付金及び地域介護・福祉空間推進交付金の交付対象となる。

また、既存のグループホームがスプリンクラーなどの消防用設備を整備する場合には、独立行政法人福祉医療機構から福祉貸付事業として融資を受けることができる。

認知症高齢者グループホームの設置者は、社会福祉法人やNPO、株式会社などの営利法人など様々であるが、この貸付事業においては、社会福祉法人立のグループホームに対しては対象経費の75%まで、NPOや営利法人立などのグループホームについては対象経費の70%まで、融資を行うもので、設置者の種別にかかわらず、全ての民間立グループホームが、融資の対象となる。

6月16日に開催した市町村の介護保険指導監督者会議においては、認知症高齢者グループホームを所管する市町村に対して、管轄するグループホームに今回の消防法令の改正内容について十分周知するよう依頼し、スプリンクラーなどの消防用設備など、消防法の適用による改修事業に対する融資制度が積極的に利用されるよう働きかけをお願いした。

 




【筒井タカヤ委員】

 各グループホーム、ケアホームが確実に消防用設備を整備していくのを、県としてチェックしていく必要があると考えるが、こうした事業者、法人に対しての県の実地指導において、どのような防火対策などの指導を行っているのか。

また、今後はどのような指導をしていくのか。





【監査指導室主幹(事業者指導監査)】

 事業所における防火対策として、消火施設の有無のほか、非常災害に関する具体的な計画を定めて、関係機関への連絡体制の整備や定期的な避難、救出訓練を行っているかを訓練記録により確認している。

今後の指導については、小規模社会福祉施設の防火安全対策について、平成21年4月1日から一部改正された消防法令が施行されることに伴い、今年度の実地指導から、収容人員10人以上の事業所における防火管理者の選任、消火器・自動火災報知器・火災通報装置の設置、延べ面積275平米以上の事業所へのスプリンクラーの設置がなされているかを調書のチェック項目に加え、調査内容を記録し、今後の事業所指導に反映させていきたい。

また実地指導に際しては、現場において事業所の避難路、消防用設備の設置状況などの確認を行い、未整備の事業所については、整備計画の聞き取りなどを行い、早期に整備するよう指導していく。




【高齢福祉課主幹(施設)】

 認知症高齢者グループホームについては、市町村が指定指導の権限を持っているので、6月16日の市町村の介護保険指導監督者会議において、市町村に適切に指導されるよう要請した。

また6月5日に介護関係団体と会議を行ったが、その際に、愛知県認知症高齢者グループホーム連絡協議会会長に対し、スプリンクラーの設置など、適切な対応について申し入れをした。

同協議会からは、会員あてに防火指導のパンフレットを送付していただいている。

なお、この会議には、愛知県老人福祉施設協議会、愛知県老人保健施設協会、愛知県居宅介護支援事業者連絡協議会といった関係団体の代表者も出席していたので、今回の火災は他人事として済まされるものではなく会員に十分な防火指導をされるよう併せてお願いをした。

今後もあらゆる機会をとらえて、グループホームを始めとする事業所の防火対策について、関係者に適切な対応を要請していく。





【筒井タカヤ委員】

 消防用設備の設置の有無など、防火安全体制に関わる実地指導の結果については、事業所情報として適宜利用者に情報提供していくことが利用者のサービス選択の際の参考ともなり、大変有意義なことと考える。

県は防火安全体制に関わる実地指導結果などの事業者情報について、利用者に対しどのように情報提供を行っていくのか。





【障害福祉課長】

 防火安全体制に係る実地指導結果などの事業所情報を適切に提供していくということは、利用者がサービスを選択する上で重要なことと認識している。

しかしながら、消防用設備の設置の有無を始め、安全体制に係る実地指導結果などの事業所情報の提供については、個々の事業所に係る運営情報をどこまで提供できるかという問題もあった。

慎重に検討していく必要があり、今後の課題として受けとめる。当面は実地指導、集団指導など様々な機会をとらえて、個々の事業所において早急に必要な防火安全体制が整備されるよう、強く働きかけていきたい。






【筒井タカヤ委員】

介護保険適用の療養病床を平成23年度末をもって廃止することなどを定めた医療制度改革関連法が平成18年6月に公布され、療養病床の再編成が進められることとなった。

この再編成において行き場のない患者を出さないように、医療の必要性が高い患者には確実に療養病床が利用できるよう医療療養病床を確保し、一方では、医療の必要性が低い方にはふさわしい介護サービスを提供できるよう療養病床を老人保健施設などへ円滑に転換していく必要がある。

このために、県においては本年1月に地域ケア体制整備構想を策定し、療養病床転換推進計画や高齢者の方が家族や地域で安心して暮らすために必要となる医療や介護などのサービス提供体制を示している。

また、国においては、平成19年度から療養病床の再編成を円滑に推進するために様々な支援措置を講じており、本年5月には、従来の老人保健施設では対応できない医療ニーズに対応できる介護療養型老人保健施設を創設した。

様々な支援措置が打ち出された平成19年度において、県内の療養病床数はどのように推移したか。





【高齢福祉課主幹(介護保険企画・審査)】

 療養病床全体では、年度当初の14,578床が182床減少して年度末では14,396床となった。
適用される保険の区分別としては、医療療養病床は年度当初の9,905床が年度末では124床増加しており、一方、介護療養病床は年度当初の4,673床が306床減少している。




【筒井タカヤ委員】

 療養病床数の増減の内容はどうなっているのか。

また、療養病床から老人保健施設などの介護保険施設へ転換された病床数はどれくらいあるのか。





【高齢福祉課主幹(介護保険企画・審査)】

 医療療養病床では、一般病床へ転換し減少したものもあるが、介護療養病床から転換し増加したものもあり、差し引き124床の増加となっている。一方、介護療養病床では、減少となった病床数306床がすべて医療療養病床へ転換している。

介護保険施設へ転換した病床数については、19年度はなかった。しかし、介護保険施設への転換については、療養室の面積や廊下幅の基準の緩和などの支援措置に加えて、本年5月1日からは、転換先として最も有力と考えられる介護療養型老人保健施設が設けられ、医療機関から転換意向の相談を受けているので、今後は転換が徐々に進むものと考えている。



 

【筒井タカヤ委員】

 介護療養型老人保健施設は、従来の老人保健施設の基準では対応できない看護職員による夜間の日常的な医療装置、医師による医学的管理や看取りへの対応などの機能が付加されており、従来の老人保健施設に比べて医療の面で充実されているが、職員の配置基準はどうなっているのか。




【高齢福祉課主幹(介護保険企画・審査)】

 介護療養型老人保健施設では、従来の老人保健施設と比べ、医療職員の配置が手厚くなっている。

具体的には、入所者が100名の施設の場合における標準的な職員配置で説明すると、医師は常勤1名、看護職員と介護職員を合わせて34名という配置基準は従来の老人保健施設と変わらないが、この34名の内訳で、看護職員の配置基準が従来の老人保健施設の9名から介護療養型老人保健施設では17名となり、医療に手厚い配置となる。

また、夜間職員の配置基準においても、従来の老人保健施設では必須となっていなかった看護職員の配置が必要となり、介護療養型老人保健施設では入所者41名に対して1名の看護職員が配置される。



 

【筒井タカヤ委員】

 介護療養病床は、病状が安定し長期療養をする施設であり、リハビリテーションについて手厚い職員配置がなされていたが、介護療養型老人保健施設においても、引き続き同様なリハビリテーションを受けられるのか。



 

【高齢福祉課主幹(介護保険企画・審査)】

 常勤専従のリハビリテーション専門職の配置を行っている介護療養型老人保健施設では、介護療養病床と同様のリハビリテーションを受けることができ、サービスの低下をきたすこととはならない。



 

【筒井タカヤ委員】

 新たに創設された介護療養型老人保健施設は介護療養病床の看板を架け替えただけの施設と思えるが、この施設はどういう位置付けとなるのか。





【高齢福祉課主幹(介護保険企画・審査)】

 療養病床から転換した老人保健施設を利用することとなる医療の必要性が比較的に低い方の中にも、喀痰吸引や経管栄養などの昼夜を問わない日常的な医療措置を必要とする方が一定程度存在すると考えられるため、このような医療の必要性が比較的低く、状態は安定しているものの、従来の老人保健施設では対応できない夜間の医療措置などを必要とする方に、適切に対応できる施設として介護療養型老人保健施設は位置付けられることとなる。



 

【筒井タカヤ委員】

 療養病床の再編成により患者が行き場を失うなどといった懸念が考えられる。このことに県はどのように対応するのか。





【高齢福祉課長】

 療養病床の再編にあたっては、療養病床の転換が円滑にかつ計画的に老人保健施設などへ転換し、入院していた患者に対して、適切な医療や介護サービスを提供できるようにすることが重要と考えている。

このため、療養病床の再編成の受け皿づくりを含め、今後の高齢化の進展を念頭に置いた地域ケア体制の望ましい将来像を示した地域ケア体制整備構想を、本年1月に策定した。

また、本年度策定する第4期の高齢者保健福祉計画においては、この構想の考え方、方向性を踏まえ、療養病床から介護保険施設への転換などを適切に反映させた整備目標を定め、介護サービス、見守りサービス及び高齢者向け住まいの質・量の充実を図り、療養病床から退院される患者が行き場を失わないよう、その方の状態にふさわしい適切な医療や介護サービスが提供できるよう努めていく。





【筒井タカヤ委員】

最近の患者及びその家族には、医療というのは患者に対するサービス業であると思っている者が数多く出現している。

日本人がこうした傾向になったのは、日本の医療のあり方を改める必要があるとして幾多の改革が行われ、その中の一つとして病院も医師及び医療従事者と患者というこれまでの上下関係の立場を変えて、病院医師及び医療従事者と患者様と変わってきた。これはいい状況も生まれたが、反面、理不尽な数多くのクレーマーを全国各地に排出することになった。

県及び県の関係する病院では、患者様ではなく、患者さんという立場を確立する考えで、医師及び医療従事者と患者さんとが平行な立場でともに医療の在り方を確立することが必要であると考えるが、意見を伺う。





【管理課長】

 患者様という言葉は、2001年に厚生労働省が国立病院の患者サービスに関する指針に、患者の呼称の際、原則として姓に様を付けるという内容があったことから広まったようである。

県立病院においても、患者と医療従事者が対等な立場になることを重視し対応した結果、最近、この様が定着したところである。しかし、病院においても、医療側が患者側にへりくだるというイメージがあるなどの意見が出ていること、また、医療従事者から、言葉としておかしいとか、また患者自身から、ばかにされているように感じるとの声も聞かれたことから、がんセンター中央病院及び愛知病院では、検討を重ね、本年6月に、さん付けがより適切であるという結論に達した。

他の病院についても、様が定着したところではあるが、今後はさん付けが適切であるという方向で指導してまいりたいと考えている。





【筒井タカヤ委員】

 県内における院内暴力行為の実態はどのようなものになっているのか。





【医務国保課主幹(医務・医療指導)】

 患者側から医療者への暴言・暴力の実態については、愛知県医師会が本年県内の病院を対象に調査をし、中間結果が公表されている。

それによると、回答があった147施設のうち過去の2年間に患者側から暴言・暴力を受けた事例があると回答した施設は106施設、72%で、多くの施設が経験している実態が伺える。また、これらが業務に大きな影響を与えていると多くの施設が回答している。



 

【筒井タカヤ委員】

 全日本病院協会が実施した院内暴力の実態調査も公表されているが、その概略を聞かせほしい。また、その中から具体的に院内暴力・暴言などの防止を目的とした対策としてどのようなものがあったか。





【医務国保課主幹(医務・医療指導)】

 調査は全日本病院協会が会員病院2,248施設を対象に、院内暴力など院内リスク管理体制に関する実態調査として行ったものである。

回収率は49.2%で、その結果を本年4月21日に公表したものであるが、暴言・暴力の実態として、過去1年間に52.1%の施設で経験したという回答がある。

暴言・暴力防止の管理体制として、院内に委員会などの組織を整備していた施設が22%、対応マニュアルなどが整備されていた施設が16.2%、職員への研修・訓練の実施を行っていた施設が12.7%である。

また、具体的な対策として、最も多く実施されていたのが防犯ビデオ・監視カメラの設置であった。このほかに、深夜の帰宅を避けるような勤務体制の工夫や、外来、病棟で単独勤務時間を回避し、短縮する。過去に暴力・暴言歴のある患者のスクリーニング、ポスターの掲示、非常通報ボタン・電話の設置、元警察職員の雇用といったものが、それぞれの病院の実情に応じて行われている。