令和7年6月議会 教育・スポーツ委員会 筒井タカヤ委員
県立高校の欠員の分析について
(議員質問)
今回の県議会代表質問において、今春の公立高校の入試の結果、2,300人を超える定員割れがあったことが明らかになりました。
この定員割れの要因をどのように分析しておられるかお伺いします。
(答弁要旨)
2025年度入試における全日制県立高校の欠員は、速報値ですが、2,372人となりました。
また、私立高校で360人程度の欠員が生じているため、全日制高校全体では、約2,700人の欠員が生じています。
全日制高校の生徒募集は、過去5年間の中学3年生の進路希望や進学実績を勘案して計画しておりますが、近年、中学生の進学ニーズが多様化しており、全日制高校へ進学する割合が低下し、一方で、通信制へ進学する生徒の割合が上昇しております。
また、私学志向の高まりにより、全日制高校の欠員の多くは、県立高校で生じております。
このような通信制への進学率の上昇と私学志向の高まりが、全日制公立高校の欠員の増加の大きな要因と考えております。
(議員質問)
次に、国による高校無償化の影響で、公立高校への志願者が減少するのではないかとの懸念の声が聞こえてきます。
授業料の安さで公立高校は成り立っていたように思われてなりません。
このような懸念の理由をどのように考えるか、私立高校と公立高校の魅力の違いを踏まえてお話ください。
私立高校は、建学の精神に基づく独自の教育方針とその方針に合った施設環境が大きな特長と考えられます。
また、多くの学校が名古屋市内に立地していたり、郊外にある学校でもスクールバスを運行していたりするため、生徒にとって通いやすくなっています。
一方、公立高校では、私立高校では数少ない総合学科や、将来の職業選択に直結する農業、工業、商業といった専門分野が学べる高校が地域バランスを考慮して設置されていることが特長でありますが、駅から遠く、交通不便な立地条件にある学校もあり、そうした学校で欠員が生じる傾向にあります。
こうしたことに加え、高校授業料の無償化は、家庭の所得水準にかかわらず、公立でも私立でも、行きたい学校を選択しやすくなりますので、私立高校を選択する生徒が増加し、公立高校の志願者がこれまでよりも減少するのではないかという懸念につながると考えております。
(議員質問)
また、同じく代表質問で、県立高校において「時代の変化に伴う多様なニーズに応えると共に、子供たちの可能性や能力を最大限に伸ばす教育活動の充実や学習環境の整備が必要」との意見に対し、「時代の変化に即した新しい施設、設備の整備を進め、実践的な知識や技術を習得できるような学校にしていく」と述べられた内容が、新聞の記事としても報道されました。
私自身としても「総論」としては理解します。
ただ、この新聞記事を見た若い父母から、「何が、どうなるのか、もう少しわかるように説明ください」との声が私に寄せられており、どう対応すればよいのか苦慮しています。
こうした父母の声があることを知っていただくとともに、専門高校において、時代の変化に即した新しい施設設備の整備を進め、実践的な知識や技術を習得できる学校にしていくとのことであるが、具体的にどのように取り組むのかお伺いします。
私立高校では、それぞれの学校において、経営者・教職員・PTA・同窓会が一致協力して、独自の校風を築き、自らも進化・発展に取り組んで「それが校風」となり、受験生も、この私学で学びたいと思い、父母・同窓会も後押しをしています。
公立高校は一部の進学校、特別に最近整備された学校以外のほとんどが「金太郎アメ」的とまでの評判です。この評価も含めてご答弁ください。
(答弁要旨)
農業高校や工科高校など、県内の多くの専門高校は公立の学校でありますので、高校授業料の実質的な無償化により、大きな影響を受けることを懸念しております。
専門高校において、実践的な知識や技術を習得するためには、まず、実際の現場で使われている道具や機械などを用いて学べる教育環境を整えることが必要であります。
そのため、県教育委員会では、これまでも、故障や老朽化の実態などを踏まえながら、継続的に専門高校の機器の更新を行うとともに、例えば、VRゴーグルやドローンなど、時代の変化に応じた新しい機器の整備を進めてまいりました。
しかし、技術革新が頻繁な時代において、引き続き、新しい施設・設備の整備が必要となります。
今後は、授業料の無償化に伴う国の専門高校を含めた公立高校への支援の拡充の動向を注視しながら、施設・設備の整備に努めてまいります。
さらに、必要となる知識・技術の習得のために、地域の産業界等とも連携し、企業から講師を招いたり、企業等に出向いて実習を行うなどの教育活動を一層充実させてまいります。
また、専門高校以外の普通科や総合学科においても、地域社会が抱える課題の解決に向けた学びに重点的に取り組んだり、キャリア教育に力を入れて取り組むなど、それぞれの特色化を進め、その魅力を積極的にアピールすることで、中学生がこの学校で学びたいと思えるような学校づくりを進めてまいります。