質 問 案

 

1 裏金問題に絡み、職員を処分するのか。

(1) 平成21年2月14日毎日新聞によると、複数の県幹部が、「愛知県の裏金問題を巡り、県は14日、裏金の捻出に関与した職員約400人を処分する方針を固めた。懲戒免職はなく、大半が減給や戒告などとみられるという。」と毎日新聞記者にしゃべっているようだが、愛知県は、裏金の捻出に関与した職員約400人を処分する方針なのか。

    決算特別委員会においても他委員から同様の質問に対し、人事担当局長は約400人の県職員の処分は一切誰にも話もしていない数字であると明言をされた。その時、委員席からはまたもやもういいかげんなその場限りの答弁はやめなよという失笑すら出たほどです。

    毎日新聞だけでなく東海テレビ等も含めマスコミはこの数字は裏付けある人物からニュース源を入れている。

    約400人はともかくとして、これに近い処分がはたして妥当だとは私には到底思えません。

 

(2) 「処分は裏金を捻出した地方機関の職員が中心で、職員を監督する上司も     含まれるという。400人のうち、実際に会計書類の改ざんや不正な納入を   黙認した約100人が減給で、残りが文書や口頭による処分にとどめるという。」と具体的だが、すでに処分対象者や処分内容を内部的には決めているのか。

(3) 職員を処分するか否かの問題は、職員の業務に対する意識、内部統制・指揮などにも直接的な影響を与えるきわめて難しい問題であるが、処分対象者の理解は得られているのか。

(4) 処分対象者の理解は得られていないと、仮にその職員がその処分を争うと

いうことにでもなれば、多くの訴訟を抱えることも十分予想され、行政内部

に多大な混乱を引き起こすように思うが、そのときには、どういう対応を考

えているのか。

 

(5) 毎日新聞の報道後、地方機関の職員に処分への不安から「日々の業務が落

ち着いてできない」、「将来が不安である」という声が出されていると聞くが、

知事は承知しているか。

 

(6) 地方機関の職員に対し、裏金の有無をチェックするため正月も返上させる

ような過重な業務を強いていたと聞くが、それは、職員を処分するためであ

ったのか。

 

  @ 地方機関の職員は、「自分を処分するための資料をせっせと作らされた」と思いはしないか。

 

(7) 不適切な経理処理をしたのは、地方機関の職員のモラルが低いからおこなったのか。

 

  @ 一つや二つの不適切な経理処理であるならば、そういうことも考えられるが、2月17日の毎日新聞の報道によれば、「愛知県は16日、01〜08年度の8年間で総額14億8973万円に上る裏金の全庁調査結果を発表した。裏金で購入した物品は計約73万点。08年10月に会計検査院が裏金の存在を指摘した後も計約20万円分の不適正な会計処理が行われ、調査対象外の00年度以前に「預け」の手口で業者にプールされていた裏金も3300万円見つかった。」ということである。

    関与した職員が「職員約400人」いて、「01〜08年度の8年間で総額14億8973万円に上る裏金処理」、「裏金で購入した物品は計約73万点」は、「地方機関の職員のモラル」で片付けられないという数字であるように思うが、知事は、今でも「職員の意識の低さにつきる。情けないような話だ」と思っておられるのか。

    毎日新聞の側には不適正な会計処理扱いとすべきを全て、裏金とあえてしたことは商業新聞記事の特有な見出しと言えよう。正確には裏金と報道した記事の扱いは誤りであることをここにあえて県民にお伝えします。

 

  @ 関与した職員が「職員約400人」、「01〜08年度の8年間で総額14億8973万円に上る裏金処理」、「裏金で購入した物品は計約73万点」という数字を見れば、「職員の意識の低さにつきる。」ではなく、「予算の仕組みの悪さにつきる。」であると考えるのが常識的ではないか。

 

(8) 不適正処理の原因が「職員の意識の低さにつきる。情けないような話だ」というのであれば、その職員の処分ということも考えられるが、関与した職員が「職員約400人」、「01〜08年度の8年間で総額14億8973万円に上る裏金処理」、「裏金で購入した物品は計約73万点」という数字からは、「予算の仕組みの悪さにつきる。」なのであり、処分を受けるのは職員ではなくて、「予算の仕組みの悪さ」なのではないか。

 

  @ 知事は、なぜ「予算の仕組みの悪さ」を改めないで、「予算の仕組みの悪さ」の犠牲になった職員を処分しようとするのか、その真意を聞きたい。

 

  @ 不適正処理を行った職員は、「やりたくてやったわけではない。予算の仕組みが悪いから行わざるを得なかった。」と述べている。そういう中で、予算の仕組みをあらためないまま、不適正処理の原因は、「職員の意識の低さにつきる。情けないような話だ」と決めつけて、「職員約400人」を処分することが、いかに理不尽なことであるか、県政を担う職員の不満につながるのかをよく考えていただきたい。

 

  @ 仮に処分をするならば、「愛知県には裏金はない」と繰り返し、「予算の仕組みの悪さ」を改めないまま、不適正な経理処理をさせていた人のように思うが、知事はどう考えられるか。

 

2 裏金問題に絡み、県が受けた損害に相当する金額の返還請求をするのか。

(1) 新聞報道によれば、08年度までの8年間で総額約14億9000万円の不正経理について、「関与した職員やOBに、公的な使用とは言い切れない支出分や、県が受けた損害に相当する金額の返還を求める」ということだが、そういう考えであるか。

 

(2) 処分対象者は、約400人ということのようだが、返還を求める総額はいくらぐらいと考えているのか。

 

(3) 処分対象者約400名は、処分も受けるし返還請求も併せて受けるということになるのか。

 

(4) 「県庁内部では課長級は10万円、平は1万円の返還を求められるようだ。」という噂が広まっているようだが、そういう計画案なのか。

(5) 物品を架空発注して業者に金をプールさせる「預け」、発注とは異なる物品を納入させる「差し替え」などの不適正な経理処理で愛知県にどのような損害が発生したと考えているか。

 

  @ 「預け」、「差し替え」は不適正な経理処理だが、予算とは違う物品を購入したというだけで、予算金額に相当する物品が愛知県に納入されているのではないか。そうであれば、愛知県には損害が発生していないということではないか。

 

(6) 「関与した職員やOB」にも返還を求める計画のようだが、単なる呼びかけをしてその意志のある人だけに求めるのか、それとも関与度に応じた返還を求めるのか。

 

  @ 返還請求をした職員やOBがそれに応じなかった場合、法的手続きをとったり、処分の対象にするのか。

 

3 公式公表の前に幹部職員がマスコミに情報漏えいをしている疑い

(1) 先ほどの毎日新聞の記事によると、平成21年2月14日までに、複数の県幹部が、毎日新聞の記者に対し、「愛知県の裏金問題を巡り、県は14日、裏金の捻出に関与した職員約400人を処分する方針を固めた。懲戒免職はなく、大半が減給や戒告などとみられるという。」ということを話している。しかし、この公式発表はいまだにない。

 

(2) 平成21年2月12日朝日新聞朝刊は、主見出しを「愛知県 2出先機関に裏金」とし、「現金・通帳10年前後入金なし」というサブタイトルで次のように報じています。

 ア 「愛知県庁の2ヶ所の出先機関で、正規の予算にはない裏金が、現金や通帳の形でひそかに引き継がれ、最近まで使われてきたことが県の調査で分かった。現在残っている金額は数万円ほどだが、その来歴は不明。県は10年ほど前に公金などからつくった裏金が清算されず使われてきたと見て、経緯を調べている。」

 イ 平成20年10月の農林水産事務所の「事件を受け、同様の事例がないか昨年末に調べたところ、職員から内部告発があり、現場の裏金の存在が発覚したという。」

 ウ 「複数の県幹部によると、裏金は、現金と通帳、そして入出金を記録した裏帳簿と共に見つかった。最近まで出金した記録はあるものの、入金の記録は10年ほど前からないという。県幹部の1人は、『そのころまで裏金が作られ、その後は残ったお金を少しずつ使っていたようだ』と話す。使途は、『現在調査中で詳細は言えない。少なくとも最近は、庁舎の植木の管理費など私的利用はないと信じている』と語る。」

    この記事よりは、県の幹部が平成21年2月12日までに朝日新聞の記者に上記の内容を漏らしていたことが判る。

    愛知県は、その後の2月16日になって「県の出先機関の4事務所で、カラ出張などでつくった計754万円分の現金や通帳など裏金が見つかった」と発表した。県民を代表する議会側と事前に連絡相談する勇気もなく、2月16日を公式発表の日と10日以上前に決めながら、突然の不正発表ではと戸惑い最悪な方法、即ち、一部マスコミに情報を漏洩してこれに対応するような形で記者会見をしたのである。

    議会軽視もはなはだしい。総括する一部幹部職員の見識を疑う。この責任を誰がどのようにとるのか回答を求める。

 

(3) 地方公務員には、法律(地方公務員法34条)により秘密を守る義務が課せられているのに、職員の模範となるべき幹部職員が知りえた情報をマスコミに流すというのは、モラルの問題を超えた法律違反のように思うが知事はどのように考えているか。

    特定のマスコミに機密情報を事前に流すことを知事は承知していたのか。

    (私自身は、ある程度、この件で調査をして資料と情報を得ていたが、まさかこのような議会軽視の決断をするとは考えも及ばぬ恐れも知らぬ大胆な方法に驚いている。

 

(4) 知事は、職員が不適切な経理をしてきたことを「職員の意識の低さにつきる。情けないような話だ」と評しておられるが、膝もとの幹部職員がたびたびにわたり、機密情報をマスコミに漏洩していることについてどうお考えか。

 

(5) 長年にわたり地方機関の適切な経理処理を見過ごし、公式発表の前に幹部職員が情報を特定のマスコミに流しているという現状を目の当たりにし、「愛知県は大丈夫か。」と思うのだが、県政を担う要としての責任をどのように感じておられるか。

 

 以上です。

  尚、知事が所見を発表された再発防止の方法として物品調達体制の拠点化(平成21年7月運用開始予定)については別途に議案質問をし、この策は県政100年の愚策(1利あって100害を生む)ものでこれを実施する為の¥8,558,000の予算の撤回若しくは凍結の論陣をおこなうことを表明し、質問を終えます。